〜奥多摩ワサビ〜

江戸野菜シリーズ、今回は奥多摩ワサビ。

寿司に欠かせないワサビ。このワサビは日本原産の野菜で昔から食されていたようで、奈良時代の文献に記載されているそうです。

よく利用されるようになったのは鎌倉時代になってからで、禅宗の寺で自生のものを採って食用にしたのが広まったようです。

年間を通じて涼しく自然が豊かな奥多摩では江戸時代、文化文政のころにはワサビの栽培が盛んに行われていました。

ワサビはハーブの一種で、体内の毒を消す力があるので生魚を食べるのに欠かせません。

文政6年(1823年)の「武蔵名所図会」に「山ワサビ この地の名産なり。多く作りて江戸神田へ出す。」と記載されてあり、江戸前の寿司が普及した時期と重なります。

江戸時代、奥多摩は江戸へ木材を供給する産地でした。切り出された丸太は筏にして多摩川を流し江戸へと運びました。

ワサビはその筏に載せて運び、神田にあったやっちゃ場(青果市場)に出荷されました。

奥多摩ワサビは明治時代の末に台風で大きな打撃を受けましたが、昭和に入り持ち直し、最盛期にはワサビ田が20ヘクタールあったそうです。

ちなみに東京ドームは4.7ヘクタールです。

山間部でこの面積はとても広いと思います。それだけ需要があり栽培が盛んだったんですね。

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